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interview

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高橋一馬さん

佐潟(さかた)にて

※インタビュー中に出てくる山菜や潟魚の採取は、潟文化を紹介する特別の催しの際だけに限られており、漁業権をもっている人のみが漁を行うことができます。


森田忠夫さんと涌井晴之さん

リハーサル演奏中のハンマーダルシマー奏者の高橋一馬さん(手前)と、ギターをつまびく小野正幾さん(後ろ)。お二人にはコマ撮りアニメのオリジナル挿入曲もいただきました。

新潟市の西蒲区、上堰潟は治水工事の結果今のような都市公園になりました。高橋一馬さんが幼い頃過ごした上堰潟の思い出は、まだ荒々しい湿地帯としての記憶です。新潟県で唯一のハンマー・ダルシマー※1奏者である高橋さんに、上堰潟の思い出を聞いてみました。

小さい頃は何をして遊んでいましたか?

うん、もちろんあの、潟舟を使ったり、あの当時はフナ、コイはもちろんのこと、正式名は知らないけど「タンゲ」っていう大きな黒い貝も捕れたし。でも一番思い出にあるのは菱の実ですね。

春はむせるほどの桜と菜の花が咲き乱れ、田園の風景に春靄がかかる

Q 何年頃までそういうのが採れたのですか?

あれはねー、昭和でいうと30年かそのぐらいまででしょうかね。私は10歳くらいでしたか。あとね、今もまだあるかな、「ジュンサイ」ね。

Q どんなふうに遊んでいたのですか?

釣りというのではなくて、潟舟で菱の実も採りに行ったし、時期がくればお腹の大きくなったフナやコイがね、水面に上がってくるんですよ。それを捕ったり。

サギがたくさんいるということは、小魚もたくさん生息しているということ/なつかしいガマの穂

Q 親にあぶないから潟に入るなとか言われなかったのですか?

全然!そういう時代じゃなかったよ(笑)。舟に乗らなくても潟の傍から水に入ればなんでも採れたからさ。

Q 蓮の実は食べましたか?

食べましたね。菱の実だって、鍋で茹でてもおいしいし、田舎の言葉で言えば『ヤゾゥ』という若い菱だと、皮もそんなに硬くないから、剥いてね、食べていました。

Q 今の上堰潟より草はいっぱいあったのですか?

こんなにきれいではなかったよ。広いことは広かったけど。あんなもんじゃなかった、もっと広かったんだよ。今は狭くなっちゃったんだよ。

Q 水はどこから上堰潟へきているのでしょう。

潟は角田山からの水が流れてきていて、それを潟から田んぼの方に川を通して水を流すわけですよ。そうすると、春になるとその川もまだ整備されていない、潟の水を流すだけのものだから、イトヨがいっぱい捕れたんですよ。

角田山より見下ろした時の上堰潟。左奥は佐潟

Q イトヨってなんですか?

今じゃ料亭の高級魚になってしまったけど、ほんの小さな魚です。

Q それは捕れたらいいお小遣いになったのでは?

 

いやあ、その場で食べるんだよ。餌のついていない釣り針5本くらいつけたもので竿をほおってやると、3–4匹すぐ捕れたんだから。それこそ小川でドジョウとか普通に捕って、自宅で食べている、そうという時代だったからね。まだいると思いますよ。たぶん。まあ相当キレイな水のところでないといない魚ですけど。

Q 上堰潟ではメダカが少なくなってしまったと聞いたのですが。

やっぱり水も人工的にああいう風に流してしまうとだめなんだわね。

夜明け前の上堰潟

Q 農業用水としてはもう使っていないのですかね。

どうでしょう、上堰潟はほんとんどが角田山からの水ですね。

Q ところで、上堰潟ではデートスポットのようなものはなかったんですか?

今はないけど、中学校なんかの通学路なんですよ。やっぱりいつも潟の傍を通って学校に通っていましたからね、隠れるところがないからデートスポットはなかったよね(笑)。

潟の上を散策できる木道。広々とした芝地もあり市民の憩いの場になっている/ジョウビタキ

Q 動物とか鳥とかは目に入ってませんでしたか?

仕掛け網で魚はとっていましたけどね。今はすぐそばに弥彦線が通っていますでしょう。そこの小川を通って上堰潟の水が田んぼに流れ込んでいたわけです。田んぼのあちこちに貯水池があったわけです。

夫婦桜もわりと最近のものらしい/昔は秋の空が赤くなるほど飛んでいた赤とんぼ

Q 夫婦桜って前からあったのですか?

いや、今は桜並木が広がっているけど、あそこに木が生えているっていう思い出がないもの。木はなかったよ、桜は植えたんです。前はもっと草の生い茂る整備されていないところだったんですよ。

Q まだ人の手がはいっていない頃のワイルドな上堰潟の記憶をもっておられるのですね。ありがとうございました。

夕方になるとサギが休息に集まってくる潟の島

***END


高橋一馬さんの所属する音楽グループ
ギターの小野さんと二人で「レモンタイム」というバンド名で演奏活動を行っています。場所やイベントによっては他の楽器でメンバーが加わりバンド名を変えることもあります。「新潟ジャズストリート」、「千灯祭(新潟市の夏の灯籠)」、文化施設いくとぴあ食花での「クリスマスコンサート」などに出演。また、老人ホーム、支援学校などでのボランティア演奏も行っています。そして定例ライブとして、佐潟のハーブランドシーズンのレギュラーコンサートも主な活動のひとつです。 >ハーブランドシーズンのインタビューを見る

初のファーストアルバム ‘Poor Old Woman’ 2015 (完売しました) ギター共演:Masaki Ono

※1 ハンマーダルシマー(hammered dulcimer)
弦をばちで打って演奏するピアノの元祖ともいわれているヨーロッパの古典民族楽器。「甘美な旋律」というラテン語の意味からするとおり、懐かしい音色と自由な演奏方法が魅力です。現代ではケルト系のダンス曲やイギリス・アメリカの民謡の演奏にも使われています。高橋一馬さんはそのめずらしい楽器の新潟県唯一の奏者です。ギターの小野正幾さんとともに、コマ撮りアニメの音楽を提供してくださいました。>コマ撮りアニメを見る


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情報は2015年10月現在のものです。
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